楽と楽!・・・洋楽と邦楽の違い?

洋楽と邦楽(J-POP)の違いってなんでしょうか?
「そもそも音楽に国境なしっていうくらいだから違いなんてありません」、といわれればそれまでだけど、ここでは目に見える違いをいくつか挙げてみます。



洋楽と邦楽では、CDの販売形態(リリースの仕方)が違う!

洋楽と邦楽ではCDの販売形態が違うため、アルバムとシングルに対する価値観が微妙に異なっています。
以下に簡単にまとめると、

洋楽・・・基本的に、まずアルバムを発売→収録曲の中からシングルカットしていく。
邦楽・・・基本的に、まずシングルを発売する→ある程度シングルがたまるとアルバムに収録して発売する。


洋楽の場合は厳密にいうと、アルバムを発売する1,2,3か月前に、そのアルバムからの1stシングル(リード・シングル)を発売し、それから、そのアルバムからの2ndシングル、3rdシングル、4thシングル・・・・、という形でシングルカットしていくことが多い。

もちろん洋楽も邦楽も例外はたくさんありますが、基本パターンは上記のようなリリース形態です。
長年このような販売形態が続いているため、洋楽ではアルバムこそ重要であるというような感じになっていて、邦楽ではシングルこそ重要であるというような感じだと思います。
言葉では表現するのは難しいですが、アルバムとシングルに対する考え方が、洋楽と邦楽では微妙に異なっています。

このような販売形態の違いにより、邦楽(日本)ではシングルに注目が集まるため、ベストアルバム(シングルコレクション的なアルバム)が売れるようになっていますし、洋楽(主にアメリカ)ではアルバムに注目が集まるため、ベストアルバムよりもオリジナルアルバムの方が売れます(イーグルスのベストアルバムがバカ売れした例外もあります)。

それと、リリース方法だけじゃなくて、現在の洋楽、特にアメリカにはシングルCDはほぼありません。
確かに人気歌手はシングルCDを生産していますが、生産数はかなり少ないです。
基本的にアメリカでシングルといえばデジタル・ダウンロードなので、シングルCDっていうのは、現在は何の影響力も持たないものとなっています。
ビルボード・チャート、でも触れてますが、シングルCDの売上、ヒット曲の定義など、根本的な考え方が洋楽と邦楽では違います。






洋楽はカヴァー、サンプリング、リミックスが邦楽と比較してめちゃくちゃ多い!

洋楽の世界ではカヴァー曲がヒットするということが常に起こっています。
アルバムをシングルよりも先行して発売する洋楽の世界では、1枚のアルバムに数曲カヴァー曲を収録することがふつうにあります。
アルバムの中にカヴァー曲があれば話題になるし、商業的にも宣伝になるなど、様々な理由があるといわれています。

歌唱力を売りにするタイプの歌手は特にこの傾向が強いです。
例えば、全盛期に全米1位を連発していたホイットニー・ヒューストンの「I Will Always Love You」、「Greatest Love of All」、「Saving All My Love for You」などの世界的な大ヒット曲も実はカヴァー曲です。
ホイットニーに限らず、70年代に人気だったカーペンターズの場合は、ヒット曲のほとんどがカヴァー曲では?と、いうくらいカヴァーばかりでしたした。

プレスリーやビートルズ、レイ・チャールズなどがいた時代から、90年代くらいまでは本当にカバー曲のヒットが常に起こっていたように感じます。

現在もカバーは多いですが、1990年代以降はサンプリングのヒットが急増しているように思います。
音楽でいうサンプリングとは、簡単にいうと過去に発表された楽曲の一部だけを使う(引用)する手法です。
この手法はHIPHOP(ヒップホップ)やR&Bアーティストに多く見られます。
2000年以降、ヒップホップがチャート上位に来ることが当たり前となったアメリカの音楽界ですが、サンプリングという手法によってHIPHOPが身近になったといってもいいかもしれません。

それとリミックスの多さも目立ちます。
リミックスとは、簡単にいえば、その名の通りただ曲を編集すること。
オリジナル曲やオリジナルアルバムはあまりヒットしなかったが、それをリミックスしたことでヒットするっていう出来事があります。

というか、オリジナル曲が発表され、その曲がヒットしてもしなくても、リミックス・ヴァージョンをすぐに制作するっていう事象は常に起こっています。




洋楽はとにかくコラボが多い!

タイトルの通り、洋楽はコラボが多いです。
近年のアメリカのビルボードのシングルチャートは、「featuring」という形でコラボしている楽曲ばかりといってもいいと思います。
しかも、2組のアーティストのコラボではなく、3組以上のアーティストがコラボすることもふつうになっています。
さらにいうと、「featuring」されるのはラッパーが多いです。
ラッパーは一人じゃ売れにくいため、「featuring」という形で参加して生き残っていく、こういう理由が近年「featuring」ばかりの大きな理由の一つ。

日本でも、「そばにいるね」青山テルマ featuring ソルジャがヒットしましたが、featuring でコラボっていうのは日本では他にもあるにはありますが、洋楽と比較すると極端に少ないです。

ラッパーが一般的に浸透していないというのも理由だし、アメリカと比較すると、コラボという文化が日本の音楽界は少ないですね。

また、「We Are The World」のように、レーベルの枠を超えてたくさんの豪華アーティストが集まってコラボするようなプロジェクトが定期的に行われているのも洋楽ならではだと思います。

他には、洋楽は亡くなったアーティストとの疑似デュエット(コラボ)なんかもたまにあります。
日本では、平井堅が今は亡き坂本九と「見上げてごらん夜の星を」を疑似デュエットしてヒットした時がありました。

それと、アメリカはグラミー賞とか他の音楽の祭典でも、アーティストがパフォーマンスしているのを、他のアーティストが客席でノリノリになって観ていたりとか、とても友好的な印象があります。
もちろん、その分、不仲なアーティストも多い気がしますが(笑)



YouTubeにアップ(投稿)される公式高画質ビデオ!

ほとんどの洋楽アーティストはYouTubeで公式ミュージック・ビデオを高画質(HD画質)で公式配信しています。
ミュージック・ビデオはVEVO協力のもと、YouTubeに公式でどんどん公開されています。
最新の曲であればあるほど、公式で公開されています。
ライヴ映像が公式に公開されることもたまにあります。
というか、シングルはYouTubeなど動画サイトを通して解禁されているといってもいい状態です。

日本のアーティストの公式PVなども動画サイトに投稿されることが少しずつ増えつつありますが、まだまだ少ないですね。
投稿されたとしても、ミュージック・ビデオはフルではなくショート・ヴァージョンだったり、高画質(HD)じゃなかったりする場合が多いです。

日本の場合は、ミュージック・ビデオをDVDにして儲けるという商売が確立しているので、このような感じになっているのでしょうが、YouTubeでミュージック・ビデオを見れないのは、もはや洋楽ファンからしたらありえないことです。

要するに、洋楽アーティストが新曲リリースしたら、それと同時に公式音源あるいは公式ビデオがYoutubeに投稿されるので、ネットで新曲をすぐにフルで視聴できます。
しかし、邦楽アーティストは新曲リリースしても、フルで聴くには基本的に買わなければなりません。


それと、洋楽アーティストのライヴやコンサートなどで、ファン(観客)がカメラで写真撮ったり、動画の撮影が許されている場合があります。
その写真や動画などがYouTubeやTwitterなどにアップされて、話題となりファン拡大に繋がるからとかいわれています。
しかし、日本の場合はDVDなどで売って儲けるためにライヴ、コンサートの撮影はほぼ禁止。

こういうところも、洋楽と邦楽では違います。



洋楽はジャンルが細かくカテゴライズされている!

洋楽はとてもジャンルにうるさいんです。
この「この歌手はPOP歌手だ」、「この曲はR&Bだ」、「この曲はアダルト・コンテンポラリーに分類される」、「あの歌手はアーバン系だ」などと必ずジャンル分けされるのが洋楽です。
「カントリー」や「ロック」というジャンルをさらに細かく分け、「カントリー・ポップ」や「ポップ・ロック」などと自身のジャンルを定義している歌手もいます。

グラミー賞などもジャンルによって賞が分かれているので、たくさんの部門があります。

Boyz Ⅱ Menが日本でオーケストラをバックにしたコンサートを行う前にこう語っています。

「自分たちはR&B歌手なんだ。アメリカの音楽界はカテゴライズされた世界だから、R&B歌手がオーケストラとコラボすることは非常にやりにくい。でも、日本ではそんなこと気にする人いないでしょ?オーケストラとのコラボは日本だからこそできること」

Boyz Ⅱ Menがこう言ったのは人種の壁がアメリカにはあるという事実を示しています。
大袈裟かもしれませんが、アメリカは人種によって音楽のジャンルが分けられているともいえます。
例えば、カントリー・ミュージックの歌手は白人ばかりだし、カントリー歌手のコンサートに行ってもお客さんは白人だらけ。
ロックバンドも基本的に白人だらけです。
もちろん、黒人のロックバンドもいますがあまりにも少ないのが現状です。
では黒人の歌手は何のジャンルに多いのかというと、R&B、ソウルやヒップホップに多いです。
多いというよりも、黒人はR&Bやヒップホップというジャンルを自然と目指し始める感じです。

Boyz Ⅱ Menは黒人のR&B歌手です。
彼らがクラシックというジャンルであるオーケストラとコラボすることはアメリカではやりにくいといった理由がわかりましたか?
クラシックは白人の世界なのです。
その中に黒人R&B歌手のBoyz Ⅱ Menが加わることは、アメリカでは考えにくい事なのです。

それと、やはり白人アーティストのファンは白人が多いし、黒人アーティストのファンは黒人が多いという現実があります。
もちろん、人種というのは白人と黒人だけではなく、様々な人種に分かれていることを忘れてはいけません。
私たち日本人には同じ人種に見えても、ヒスパニック系、ユダヤ系とか細かく分けられてます。
同じ白人でも、北欧系の白人よりもイギリス系白人の方が上という感覚があったりと・・・、日本人にはわからない感覚ですよね。

日本人がアメリカの音楽業界で成功できない最大の要因も、この人種による違いが大きいと思います。
まあ、人種問題は音楽に限ったことではないですが・・・。

日本の音楽界はガラパゴス化しています。
日本の音楽は独自の進化を遂げているとかいわれています。
J-POPは何でも有りということで、ロックでもポップでもR&Bでもヒップホップでも誰も気にしません。
誰もジャンルなんて気にしないし、人種でジャンル分けなんて考えもしません。
そこが日本の音楽界の良いところとかいわれてます。






初動売上の差!

アルバムやシングルの最終的な売上枚数は日本よりもアメリカの方が多い。
当たり前に、アメリカの方が日本よりも人口が多いというのがこの理由です。
しかし、初動売上に関しては日本の方が圧倒しています。

シングルは販売方法が違うので、アルバムに関しての話をします。

アメリカは、アメリカ国内だけで500万枚以上売上げたアルバムがたくさんあります。
しかし、そのアルバムの中で初動だけで100万以上売ったアルバムというのはほとんどありません。
どれも、2年~3年と長い期間一定の売上を記録し続け500万枚、あるいは1000万枚の大台を超えることがほとんどです。

一方、日本は日本国内だけで300万枚以上売上げたアルバムが約20作あります。
どれも、初動で100万枚超えを記録したようなアルバムがほとんどです。

一極集中といいますか、日本の場合は、最初、一斉にみんなが飛びつく感じで売れる、そんな感じ。

とにかく、日本の初動売上は世界トップだと思います。
最初が凄くて、あとは落ちるだけ、そんな感じ。



洋楽と邦楽にあるレベルの差!

洋楽の方が邦楽よりレベルが高いといわれたりますが、相対的に見ると、残念ながらその通りでしょう。
そのレベルとは、人種の違いによる歌唱力はもちろん、演奏技術やレコーディングにおける音響設備、また、革新的なアレンジやプロデュース能力など、レベルの差は間違いなくあります。

単純な歌唱力だけを見ても、洋楽の一流と言われるボーカリストと、日本のボーカリストでは差がありすぎるというどうしようもない現実があります。
ビブラートやファルセットなどのテクニックはもちろん、グルーヴ感、リズム感、フェイクなど根本的に違うように思えます。

それに、洋楽はホイッスルボイスを使用したヒット曲がふつうに存在しています。

こういう事実が、洋楽と邦楽にレベルの差があるなと感じさせられます。

もちろん、歌唱力があるから売れるわけでもないし、演奏技術が半端ないから売れるわけでもないし、曲作るの上手いから売れるわけでもありません。

歌が下手でも売れてる歌手はアメリカにもたくさんいます。

それと、ミュージック・ビデオ制作にしても、何をするにも、やはりお金のかけ方が違うので、スケールが違うというか、そんな印象を持ってしまいます。
ハリウッド映画と日本映画みたいなものでしょうか!



元ヘビメタ・バンドの某ギタリストが語ったJ-POP!

かつてヘビメタ・バンドのメンバーとしてアメリカで活躍し、J-POPに魅了され、現在は日本に活動の拠点を移し、日本のテレビでもたまに見かけるM氏。

そんなJ-POP好きのM氏がテレビで洋楽とJ-POPの違いを語っていました。
洋楽出身だけど、J-POPに魅了され、J-POP大好き人間のM氏なので、J-POPを絶賛するかと思っていたけど、彼が言った事は次のようなことでした。

洋楽についてM氏は、
「アメリカの音楽はプロのボーカル、プロの演奏、要するに一流がパフォーマンスするから、一般人は真似できない、レベルの高い音楽」と、述べた。

J-POPについては、
「素人でもカラオケで歌うことができる、みんなで盛り上がれる音楽」と、述べた。

さらに、J-POPの特徴について、
「洋楽と違って、サビから始まる曲が多い。メロディー重視」と、述べた。

M氏の言った、洋楽が一流で、J-POPは素人でもカラオケで歌うことができる音楽、というコメントに怒る人もいるでしょうが、大袈裟にいえば確かにそんな感じだと思います。
もちろん、日本のアーティストもプロのボーカル、プロの演奏をしているアーティストはたくさんいます(たくさんいるというか、基本的にどのアーティストもプロでレベルが高い)。

しかし、日本はアイドルといわれる歌手が目立ちますよね。
アイドル、いわゆる実力派といわれない歌手が日本にはたくさんいます。
実力派っていう言い方が日本ではよく使われていますが、洋楽ではほとんど見かけません。
というのも、洋楽は基本的にみんな実力派だから、わざわざ実力派という言葉は使われません。
確かに、洋楽にもアイドルっぽいアーティストはいますが、ダンスやソングライターとか、何かしらで秀でたものがありますからね。

日本は民放がたまにやる3時間くらいの音楽番組があったら、出演者の半分くらいをアイドル歌手が占めることもあります。
M氏が言ったみんなが真似できる音楽っていうのは、こんな風に日本はプロ(実力派)ではない音楽があふれているってことじゃないでしょうか?
多分・・・。


それと、確かにJ-POPはサビから始まる曲が多いですね。
これは気づかなかったです。
洋楽出身のM氏だから気づいたことでしょう。



日本人だらけの日本の音楽チャート!

J-POP専門の人たちは何気なくオリコンチャートを見てて何も疑問を持たないと思いますが、あのチャートにランクインしているのは、日本人ばかりです。
韓国人がランクインするだけで、ネット上では「帰れ!」といわれたりしてます。

そう、日本の音楽チャートは基本的に日本人だけなのですが、当たり前に世界は違います。

北米、中南米、欧州、豪州はもちろん、アフリカの一部の地域でさえ、基本的に国際色豊かで、様々な国の人たちが音楽チャートにランクインしています。

しかし、日本は、世界のトレンドというか、世界の音楽シーンから孤立していて欧米のトップアーティスト(世界で人気のアーティスト)がランクインすることが少なく、日本人だけという音楽チャートとなっています(もちろん、現在の洋楽アーティストはほとんど日本でシングルCDを発売していないことも理由の一つ)。

そもそも、日本の音楽市場は世界1位、2位を争う大きな市場です。
ふつうに考えると、音楽市場が大きければ大きいほど、世界的なアーティストやグラミー賞を獲得するような世界の一流といわれるアーティストが誕生するはずです。

が、みなさんも知ってのとおり、日本は音楽市場は世界トップクラスですが、日本人で世界的なアーティストはいません。
日本の音楽チャートはグラミー賞などを受賞するようなビッグアーティストが、一般的に知られるくらい上位にランクインすることはほとんどなく、上位から下位まで基本的に日本人ばかりというチャートです。

日本は市場の大きさの割に、世界的なアーティストが上位にランクインすることが極端に少いといえます。
逆にいえば、世界的には無名のアーティストばかりがランクインしているのに市場が大きいという、まさにガラパゴス化しているのが日本の音楽市場。
『音楽に国境なし』っていう割に、日本の音楽ランキングは日本人ばかりとなっています。



結局は、住む世界が違うっていうこと!

今さらだけど、洋楽と邦楽、アメリカの音楽業界と日本の音楽業界では、住む世界が違い過ぎます。
言語が違うだけで、音楽という意味で一緒だろっていう人もいるかもしれませんが、そういうレベルじゃない。
洋楽と邦楽は同じ音楽業界だけど、別の業界といってもいいほど違う。

言葉でいうのは難しい、体感するしかない。

日本のトップアーティストが洋楽(アメリカの音楽業界)に進出しようとしても、手も足も出ない状況は昔から今も変わっていない。

これは、洋楽と邦楽は別世界だからしょうがない。

洋楽と邦楽の違いは?と、聞かれたら、全部違う、と答えて、逆に同じところなんてあるの?って聞き返すのが良い。